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王子文個展 「星々・時間の枠組み」

5月28日(水)

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Moon Gallery & Studio

王子文個展 「星々・時間の枠組み」
王子文個展 「星々・時間の枠組み」

Time & Location

2025年5月28日 13:19 JST – 2025年6月01日 19:19 JST

Moon Gallery & Studio, 台東区北上野2-3-13 上野ダイカンプラザ102

About the event

「星々」は、自閉症の子どもが「星の子」と呼ばれることに由来し、社会との距離を象徴する言葉でもある。「時間の枠組み」は、時間が流れるものだけでなく、本能に反する制度的な規範としての時間を示している。王子文(Dans Wong)が「時間」と「反復」をテーマに制作し、個人のあり方と社会秩序との関係に対する継続的な関心が集約されている。


王子文は、中国で育ち、天津美術学院の学部を卒業し、来日して東京藝術大学大学院修士課程を修了し、現在は東京を拠点に制作活動を続けている。幼少期に自閉症スペクトラムと診断され、社会秩序や習慣と調和しづらい特有の行動パターンを形作ってきた。子どもの頃から時計や時間に強い興味を持ち、長年の体験と考えを通じて独自の世界観を築き上げてきた。


本展では、絵画、インスタレーション、コンセプチュアル作品など多様な表現を通じて、社会秩序が目に見えないかたちで人々の生き方にどのように浸透しているかが静かに示されている。その気づきは、彼の創作に深い痕跡を刻んでいる。ミシェル・フーコー(Michel Foucault)の言うように、権力はもはや圧迫の存在ではなく、ルールや手順、慣習から成るグリッドとして、人々の行動を静かに左右している。


絵画シリーズでは、日頃に時間管理に使われる図表(テーブル)を解体・再構築し、身体の動作として星のパターンを繰り返し描き、規範化された時間を個人の経験を担うイメージに変換している。二つのインスタレーション作品は、空間における規則の制約に応じて、私的な場所から公共の場までその影響の広がりを示す。一つは木の棒で時計を正面から支え壁に立てかける作品、もう一つは「時計掛け禁止」と書かれた立て看板を壁の前に置き、自分の自転車を展示空間に持ち込んだ作品である。


また、コンセプチュアル作品《画廊の時間》では、本画廊の開館時間を、日本標準時(13:00~19:00)ではなく、所在地の経度に基づいて換算した時間(13:19~19:19)に設定している。このズレによってわずかな違和感を来場者に与える。


王子文は、外部の秩序に正面から対抗するのではなく、細かい記録や介入、わずかなズレを通して、枠組みの隙間で動き、呼吸している。自身の体験と思索を通して、彼は星を座標として、冷静で繊細な時間の世界を描き出している。

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