唐菱瓏個展「内なる神殿」
Thu, Aug 07
|Moon Gallery & Studio


Time & Location
Aug 07, 2025, 1:00 PM GMT+9 – Aug 11, 2025, 7:00 PM GMT+9
Moon Gallery & Studio, 上野ダイカンプラザ 1F, 2-chōme-3-13 Kitaueno, Taito City, Tokyo 110-0014, Japan
About the event
内なる神殿
様々な宗教と神秘的流派において、内なる道(Inner Path)という概念は特に重要である。キリスト教神秘主義では身体を神の住まいと称し、(コリント人への第一の手紙)6:19-20:「あなたがたは知らないのですか。あなたがたのからだは、あなたがたのうちに住まれる、神から受けた聖霊の宮なのです。この聖霊は神から来たもので、あなたがたのうちに住んでおられるのです」
そして静修などの瞑想は、内なる道において神に近づくための修行である。近代の個人主義的探求においても、「肉体こそが、人間にとっての神殿であり、たとえそこに何を祀るにせよ、それは少しでも強靭であり、美しく清潔であるべきだ。」(村上春樹『1Q84』)という宣言がある。
ピタゴラス学派が「魂の居所」soma semaについて語る際、それはやや否定的な意味を含み、純粋な魂が身体の浄化という道程を通る必要があることを指していた。これは初期の人類の心身哲学における心身二元論の萌芽である。近代になって肉身こそが精神の神殿であるという人文主義的宣言が提出され、身体の神聖性と個人の自身の肉体に対する責任の重要性が強調された。
そして全体的な「肉身」以外にも、具体的な身体部位にも神性が付与されてきた。例えば人間の語音構音器官である舌は、古代エジプト文化において崇拝され、黄金で作られた舌がミイラの中に置かれ、死者が冥界で自己弁護できるようにした。メソポタミア人は魂が肝臓に住んでいると考え、羊の肝臓で占いを行う習俗があった。魂について言えば、心臓は一部の文化の古代墓葬において、脳よりも重要な器官と考えられ、人間の魂の居所とされていた。脳と心臓のどちらに人間の自我が住んでいるかについては、近代医学が発展するまで真に証明されることはなかった。

《骨迷路:渡鴉》
素材:木板テンペラ
サイズ: 26 × 26 cm
2025
この絵画作品の主体部分は、渡鴉のデジタル化された内耳迷路(骨迷路 Endosseous labyrinth)のモデルである。渡鴉は今日の文学においても豊かで深い意味を持つ象徴的動物であり、その姿は常に「生と死の世界を繋ぐ」「人類を導く」「前兆をもたらす」といった意味と関連している。現代生物科学の資料によれば、内耳迷路は生物の空間感知と平衡感覚を助け、前庭器官は速度感知を担っている。
もし渡鴉の身体を一つの神殿として見るなら、内耳迷路というこの解剖学的構造が渡鴉の神性的属性を決定している。内耳迷路は心臓や舌などの器官のように具体的な実体ですらなく、それは高度に特化した腔室システム(chamber system)であり、有形の肉体レベルにおいてすでに境界の曖昧な神秘性を呈している。そしてまさにこの「構造」が渡鴉の神性を決定しているのである。私たちは言えるだろうか:内耳迷路に渡鴉の神性が宿っており、この構造の中に「生死の世界を繋ぐ」「人類に前兆をもたらす」などの力が住んでいると?私は伝統的宗教絵画でよく用いられるテンペラ技法を使用し、この神聖な一幕を描いた。
本展覧会のテーマは、生物学的構造-神性が住まう神殿、というテーマを中心に展開している。
下図は肺魚とその脳構造である

(図像出典:wikipedia)

(図像出典:morphosource)
今日、我々は個人の意志が脳の中に存在することを知っているが、肺魚は今日地球上のすべての四足動物の祖先、我々人類の遥か遠い祖先であり、3.6億年前、この器官を使って陸上に上がることを決定した。人類や世界の誕生について、この地球上で異なる文化や宗教の間で千年もの間論争が続いている。誰が世界を創造し、誰が人類を創造したのか、これは各文化において基石のように重要な設定である。しかし、この至高神が下したかのような「決定」は、数億年前の一匹の肺魚の脳部構造の中に存在している。この構造には、今日の現代科学で言うところの決定を下すことができる大脳皮質すら存在せず、これは単に原始的な嗅球と線条体様構造の一組に過ぎない。そして私は、この神殿に我々智慧ある生命を地球に連れてきた「偉大な決定」が住んでいると考える。
本展覧会は観客をより深い内なる道へと導き、我々の意志と神性の居所が身体の様々な構造や器官に分散して存在しているのではないか、我々が単に脳の中に閉じ込められた一筋の意志ではないのではないかということを再考させることを意図している。
過去作品

材料: テンペラ
本組作品は二幅の絵画作品から構成される。その中の一幅は、メトロポリタン美術館蔵15世紀タロットカードの「太陽」カードの図像を借用している。太陽本来は人類が直視することのできない天体であり、神秘学においても類似の認識がある:高次の霊光は心の眼によって直接観測することはできない。そのため、人類は文化進化の中で「光」と交流するための様々な迂回的方法を発展させてきた——占いやカード占いなどの占術や交霊の儀式など。もう一幅の絵は太陽を直視する瞬間を描いている。神秘学者は様々な言語である種の「光」の質感——その権能、その触感、そしてその音——を再現しようと試みる。そして絵画もまた同構的な実践である:長時間の手作業を通じて、ある瞬間の光の質感、色彩、温度を固定する。神秘学の文脈において、「太陽」カードは強健な肉体、顕現的な生命力と積極的な顕現を象徴する。そして本組作品中でそれに対応するもう一幅の絵は、意志を持って肉眼で太陽を直視する瞬間を描いている。この灼傷に近い凝視は、人類が感覚的身体である種の「光」に触れようと試みる際に直面するパラドックス——啓示に近づくことを渇望しながら、その真実の炽烈さに耐えることができない——を暗示している。


《超級火焰大竜巻》
素材: 行為芸術 映像
言語と語彙は人を構築し、逆に方言を掌握できないことは身分認同に障害を生む。作品はここから出発している。形式的にはシャーマンの儀式を借用し、篝火を囲む人々が調性のある鼻歌を発し、曲調の中には一切の語彙がなく、皆が祭司の指導の下で徐々にこの儀式の曲調を見つけ、最後に皆が同一の即興創作の歌を鼻歌で歌う。
火焔竜巻は一種の気象現象で、山火事と風の作用によって形成される。作品中の扇風機は各家庭から募集したもので、特定の角度に設置するだけで、中心の炎が気流の中で火柱を形成する。儀式上で歌詞のない唱和のように、扇風機は軽微な呟きを発し、観客はそれらがどの家のものかを知らないが、篝火が常に人の心に喜びを生むように、この竜巻を注視する時、すべての説明、文献、解釈は極めて弱々しくなる。炎の中には人の意志が自ずと存在している。






《無有窮尽》
素材:テンペラ
《無有窮尽》この作品は炎の中の消滅と再生の概念を描いている。作品素材は木板テンペラ、紙本テンペラ、蝋燭と扇風機装置、循環映像。その中の図像の手がかりはベトナムの高僧釈広徳である。彼の焼身行為は図像伝播における広度と深度において他の仏教事件では比肩し難く、後続の世界各地の多くの焼身事件には彼に対する模倣的意味がある。しかしその後の五六十年間で、この事件は西洋の南アジア仏教に対する好奇の視角を強化し深化させた。(彼がなぜ烈火の中で静座できたのかという疑問は、科学者にヨガ行者の身体に対する科学的探求を引き起こした。)
自己犠牲、自己献祭は多くの宗教に現れ、この行為は「自分の身体を損傷してはならない」宗教体系にも現れる。この激烈な行為は近現代社会において多重の矛盾的意味を含んでいる。一つは自己破滅と名を青史に留めることの並存、一つは教義に衝突することと教義を昇華することの間での震動、最後に修道や求真者にとって、肉身は物質世界における舟筏である。世間にこの船上の宝を示すための最良の方法が、まさにそれを炎に付すことなのだ。私はこれに対して無奈と惋惜を感じると同時に、この炎に付す力を持ちたいとも思う。
アーティスト紹介
唐菱珑(とう りんろん)
中央美術学院卒業、アーティスト。
日本茨城県と中国珠海を拠点として活動。主な作品媒体は行為芸術、映像、テンペラ、フレスコ画。長年にわたり、地域社会への介入と神秘学的儀式の関係性を探求している。神秘と秘儀は日常生活から遠く離れた彼岸の哲学ではなく、日常生活と儀式的神秘が密接に織り交ざったものであるという核心概念のもとで創作を展開。過去のグノーシス主義アーティストの内向的探求の道とは異なり、外顕的で日常生活に根ざした神秘的探求を主張。古典的な素材と言語から具体的な記号や象徴を剥離し、特定の語義的記述を持たない神秘的雰囲気を復元する。
展覧
Lasting Crux,Absent Gallery,Guangzhou(2025)
Reflection of Orpheus, Astra Art, Shanghai (2025)
The Pillow Painting, X-in Art Space, Guangzhou (2025)
Ubiquitous Clues, Canton Gallery GMI, Guangzhou (2024)
Aura Hunter, DOSE Gallery, Shanghai (2024)
Labyrinth, Absent Gallery, Foshan (2024)
CAPRICCI:TRACES, Absent Gallery, Zhaoqing (2024)
Ethereal Silhouette, Absent Gallery, Dongguan (2023)
Contral and controlled, HouShan Art (2022)
The face of a loved one, Canton Gallery, Guangzhou (2021)
Super Flame Tornado, The Moment Art Space, Zhuhai (2021)
Valley Of Your Mind, Mou Art, Beijing (2020)
Knock Knock, Cantong Gallery, Guangzhou (2020)
Great Fire House, Enjoy-Art Museum, Beijing (2019)
Thunder and Hangman’s knot, Observatory, Guangzhou (2017)
My Secret Life, Beijing Nanluoguxiang Performing Arts Festival, Beijing (2017)
Are you normal?, Boers-Li Gallery, Beijing (2016)
A possible world, Central Academy of Fine Arts-Underground Exhibition Hall, Beijing (2016)
Mr. Jian and Miss Ka Project B, Songzhuang Art Museum, Beijing (2016)
Chaobai River, Chaobai River Project, Beijing (2015)
Coart Festival, Shuhe, Yunnan (2013)
