劉月娟·董永茂二人展

中国出身の画家、劉月娟と董永茂の二人展は、それぞれの故郷から育まれた感性と、現代に向き合う率直な探究心が響き合う、静かなダイアログの場です。

両者は共に中国の伝統文化を背景に歩んできました。劉月娟の作品には、北方の山石が持つ堅さや、胡同に残る暮らしの痕が静かに滲みます。対して董永茂は、戯曲の人物のしなやかな動きや、山水が孕む余白の気配を軽やかに結び直します。重厚と空隙、土地に根差す視線と想像の飛翔については、二人の表現は、中国美術の精神の両極を成すかのようです。

本展の核となるのは、こうした異なる質が、同じ空間で並び、響き合うことです。深遠な哲学を語るのではなく、同じ東方から出発しながらも、異なる道行きを辿る視覚的試みを、真摯に提示します。ここでは、古い伝統が二人の手によって、異なるけれど互いに通じる現代の姿へと転化していく様を、直感的に感じていただけるでしょう。

東京の小さな展示空間に立ち上がるのは、壮大な物語ではありません。紙の上で蓄積されていく、日々の制作そのものです。静かで誠実なこの展示が、筆触の温度や色彩の呼吸を通して、文化を越えて届く純粋な感動をもたらすことを願っています。