黒洞 初個展「メモリー」
6月25日(水)
|Moon Gallery & Studio


Time & Location
2025年6月25日 13:00 JST – 2025年6月29日 19:00 JST
Moon Gallery & Studio, 台東区北上野2-3-13 上野ダイカンプラザ102
About the event
黒洞 初個展「メモリー」
展示会場:
Moon Gallery & Studio
東京都台東区北上野2-3-13、1F
展示会期:
2025年6月25日(水)〜6月29日(日)
13:00〜19:00(最終日は17:00まで)
展示紹介
今回の展示作品では、もはや具象的なイメージを意図的に描くことはありません。少女の身体、ウサギの輪郭、感情の表情は次第に溶けていき、呼吸のように揺らぐ色彩と形となり、魂の本質により近い抽象へと変化しています。
しかし、これらは決して無から生まれたものではありません。私の創作の原点は、ウサギをモチーフにした初期のイメージにあります——か弱く、純粋で、驚きやすく、沈黙の中に痛みを抱えている存在。それは、かつて私が育てたウサギであり、そしてかつての私自身でもありました。大学時代には「ウサギ」と「少女」、「痛み」を主題とし、見過ごされがちな、しかし確かに存在する感情を描いてきました。
本展では、当時の大学時代の作品も一部展示しております。現在の抽象表現と並べることで、私の創作の変遷と心の軌跡をご覧いただければ幸いです。
かつて私は、いじめや孤独、自分自身への疑念を抱え、世界から遠ざかるような日々を過ごしていました。創作は、他者との共鳴を求める唯一の手段であり、心の出口でもありました。今は、傷を露わにするのではなく、静かな絵画の中に、一瞬の安らぎや理解を込めたいと思っています。それはまるで、神仏が与えてくれる一時の庇護のように——ほんの少しでも痛みから解放される瞬間があれば、それはひとつの救いです。
信仰を持つようになってから、「心を整える」という感覚を大切にするようになりました。魂と肉体は本来一致しているものではなく、私にとって絵を描くことは、魂を身体から切り離し、他者と静かに出会う方法です。
画面に表れる色や光、形や余白は、もはや特定の感情や概念を伝えるためのものではなく、ただ自然に内からあふれ出し、その瞬間に静かに定着していきます。
輪郭は溶け、光と振動、感情の残響となって存在します。そこに「誰か」や「何か」がはっきりと描かれているわけではありませんが、もし少し立ち止まって眺めていただけたなら——きっと、そこに“かたちのない魂”の存在を感じていただけるかもしれません。
今回の作品群には、痛みの記憶から解放されたもの、浄化や慈悲への祈りを込めたものなどがあります。可愛らしさに惹かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、ほんの少し深く見つめていただけたなら、そこに宿る魂の光を感じていただけることを願っています。
私はもはや、特定の意味を伝えようとはしていません。自然に任せて、心のままに描いています。私の今の創作の姿勢は「縁に任せること(随縁)」——テーマを求めすぎず、感情を否定せず、ただ自然に湧き出るものを受け入れる。
それらの作品が、まるで生きているように在り、観てくださる方の心に静かに芽生えますように。
作家より