郭全紅個展「生命の本真」

郭全紅個展「生命の本真」

展覧会概要文

アーティスト郭全紅氏は中国・西安出身で、1990年代初頭に円明園画家村に身を投じ、その後、宋荘へと拠点を移した。人生の幾多の困難を経ながらも、彼の芸術への初心は決して揺らぐことがなかった。

郭氏は独自の鋭い感性によって、世界・人間性・生命といった人類を悩ませ続けてきた問題を思索し、理性的な考察を通じて芸術現象への新たな認識を得ている。今回、東京・上野の「Moon Gallery & Studio」で開催される個展「生命の本真」は、まさにその探求に対する彼自身の答えである。郭氏は信仰を個人的な芸術理念へと昇華させ、中国現代芸術の現場に持ち込もうとしており、それは独特な視点や題材だけでなく、個の表現そのものである。

中国の紙本芸術は近代以降、常に突破と革新を続けてきた。一方では言語的表現と視覚的感受性を押し進め、他方では視覚作品の背後にある価値観や文化的属性を深化させている。郭氏は流行のスタイルを意図的に避け、作品には表面的なファッショントレンドは一切見られない。彼の美意識と独立した価値観は、画面において明確に人間主義を核心とする哲学性を示し、精神的主体が社会において備える尊厳と崇高さを描き出している。

彼の紙本作品は素材の限界を越え、東洋と西洋の絵画の境界を曖昧にし、濃厚な情感、古典的なロマンと詩情、そして深い哲思を湛えている。芸術に対する厳格で真摯な姿勢は、創作の中で常に揺るぎない情熱を保ち続けさせ、今後の探求の道においてさらに広い可能性を切り拓くことだろう。